できるだけ外へ出よう

 日本が直面する社会課題は多い。少子高齢化は今後さらに進む。少なからず地方が衰退し、過疎化も増える。一方では大都市にはさらに人が集まり過密化し、交通渋滞の悪化、都市型大規模災害リスクの増大といった問題を生んでいく。人が大勢いるはずの大都市であってもサービス労働力の不足は深刻化している。といって労働賃金が高いわけではなく、非正規雇用の若手貧困層が増え、少子化に拍車をかける。生産年齢人口の減少により税収は下がる。一方、インフラは老朽化し、必要な維持費は増え続ける。高齢化による社会保障コスト増とあわせ、生産年齢人口の負担はますます重くなる。このような様々な社会問題にどう取り組めばよいのだろうか。課題の根本を捉えて、それに根ざした対策が必要であろう。
○高齢者の生活能力が低下すると【いろはにすめし(い⇒移動。ろ⇒風呂。は⇒排泄。に⇒認知。す⇒睡眠。めし⇒食事)の6項目についてのケアが必要になるといわれる。
○人生100年時代を支えるハビタット環境をつくる。
①【モノのあふれる豊かな社会】からの脱却。
②環境問題への対応が待ったなし。
③情報ネットワーク化。
○住み慣れた住まいに暮らし続けられるように。
【地域の社会的環境の重要性】⇒自立的生活能力の維持には、適切な食事と運動が重要であることがわかっていても、トレーニングを一人で黙々と続けることは難しいし、一人暮らしの食事は貧しいものになりがちである。
 高齢者の心身の健康維持には、自宅に引きこもらず、外に出て、仲間とともに活動したり、食事をともにしたりすることが重要である。週に1回程度しか外出しない人は毎日外出する人に比べて歩行障害に4倍なりやすく、認知症に3.5倍なりやすい、というデータはよく知られていることである。外出の機会が減ると高齢者は心身が弱ってしまうのである。
 つまり、健康寿命を延ばすためには、①適切な食事、心身の運動、十分な休養と、②安全な住環境に加え、③外出を促し地域での交流や活動を促進するような地域社会の環境整備が重要になる。